第十三夜 家と焼酎
祈り、清め、祝う。
家を建てるのは一世一代の大イベントである。
土地を選び、外観や間取り・内装を決め、夢がどんどんカタチになっていく。
百日足らずでできあがるのだが、地鎮祭から新築祝いまで、家の誕生に焼酎を欠かすことはできない。
一連の工程の中締めにあたるのが上棟式。
屋根にかぶら矢や五色の旗を立て、完成までの安全と築後の繁栄を祈る。
棟梁や施主が棟木に登り、四方に塩、米、そして焼酎をまく。
その後、屋根から盛大な餅まきが始まり、上棟式はクライマックスを迎える。
もちろん、餅まきの後は、棟梁以下大工さんが勢揃いし酒盛りとなる。
祈りのひたむきさ、清めの厳かさ、祝いの華やかさ、そんな場を見事に演出した焼酎は、やがて、一家の大黒柱の横で静かにたたずむ。